「分配より成長が大事」

 ダマされてはいけません。
 適正公平な分配なくして成長など有り得ません。分配が不当に少ない者は、一生懸命働いてもその成果は他人に取られてしまうのですから、働く意欲など持てないし、まして何かイノベーティブなことを周りと軋轢を起こしてまでしようとは思いません。また、分配が不当に多い者は、苦労して一生懸命働いたり、まして何かイノベーティブなことを周りと軋轢を起こしてまでするよりも、他人の働きに乗っかって分配を得られる今の立場を維持し、できればもっと分配を増やすことに力を注ぎます。その方が楽ですから。よって、苦労して一生懸命働いたり、まして何かイノベーティブなことを周りと軋轢を起こしてまでする者は誰もいなくなります。
 「分配より成長」と言う人の主張をよく分析すると、大抵の場合は要するに自分の分配を増やせという主張に過ぎません。自分は分配を増やしてもらう権利があるとかその方が公正だとか訴えることができないことがわかっているので、未公開株だの馬主だの過去幾多の詐欺師と同様に、自分の分配を増やしてくれれば儲けさせてあげまっせとうそぶいているに過ぎません。本当にその力がある者はそんなことに血道を上げるヒマがあれば儲ける仕事に精を注ぐものです。増やした分配は増えるどころか返ってくることすらまず期待できないでしょう。
 ダマされてはいけません。